よく有名なスポーツ選手が故障の回復手段にハリ治療をしているような話を聞くけど本当なの?ここではスポーツと鍼灸について考えてみましょう。

当院には近隣はもとより、遠方からもたくさんのスポーツ選手が治療に訪れます。
スポーツ選手の治療に対しては、選手の許される時間との勝負になります。ゆっくり、
のんびりと治療をしていたのでは大会に参加できなくなってしまう可能性があるからです。

あけぼの鍼灸院とスポーツ鍼灸治療

  • ふくしま国体にてサッカー二部福島県チームのトレーナーを務めました。
  • 郡山シティマラソンにてボランティア治療をしています。
  • 甲子園大会へ光南高校野球部トレーナーとして参加しました。
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  • スポーツ鍼灸活動
  • RICE処置
  • 捻挫
  • 打撲
  • その他
  • コンパートメント症候群
  • ボランティア治療
  • 甲子園トレーナー参加記

スポーツ中のケガにおける基本的な応急処置

スポーツ中に起きたケガに対して、初期段階において適切な処置が取れたかどうかでケガの回復に影響します。スポーツに関係している方ならRICE処置という言葉を聞いた事があるかもしれませんね。
英語の頭文字をとってRICE処置といいます。


・・REST(安静)、・・ICE(冷却)、・・COMPRESSION(圧迫)、・・ELEVATION(挙上)です。

安静

安 静

捻挫などのケガをしたまま無理に競技を続けると、圧力に耐えきれなくなった血管が切れ症状を余計に悪くするばかりかケガの回復が長引く可能性があります。速やかに競技を中止し安静を保つ必要があります。

冷却

冷 却

骨折・打撲・捻挫・靱帯の損傷などでは、必ずといっていいほど内出血が起き段々と腫れあがってきます。これを最小限に抑えられるのが冷やすという行為です。冷やすと言ってもギンギンに冷やすのではなく、30分程度の冷却(バケツに氷水を入れて足を浸けるなど)を間隔を空けながら数回行った方が効果的です。

圧迫

圧 迫

圧迫も内出血を最小限に抑える重要な行為です。テーピングなどが圧迫固定に該当します。テーピングもキツキツに巻くと循環障害を起こして症状を悪化させる危険性がありますので気を付けましょう。内出血を起こしそうな部位を想定してパッドなどを充ててテーピングをした方が効果的です。

挙上

挙 上

血液は心臓から手足の先へ向かって流れています。三角巾で手を固定する、足を少し上げて寝るなどの行為が挙上になります。うっ血を少しでも抑えるために行います。

とにかくRICE処置は必ずやってください。いかに内出血や腫れを少なくするかが回復の鍵となります。十分な初期手当てを行えばハリ治療で早期復帰が可能です。
ハリ治療は循環障害を改善する、循環障害を予防することにとても効果があります。

捻 挫

捻挫に関してはハリ治療は特に効果があります。どんな治療よりも早く治せると思っています。
ただ、初期の手当が不十分だと回復に手間取ります。時間の経過とともに捻挫を悪化させてしまい歩けない状態になって来院される方もおられますが、そんな方でも1週間も治療すれば普通に歩けるようになります。

テーピング

打 撲

野球でデッドボールを受けて整形外科でレントゲンを撮ったけど骨に異常はないが痛くてどうしようもない。野球部関係はハリ治療の有効性をよく知っていただいているので、こんな時は直ぐに来院します。
来院時は痛みで顔を歪めいてますが、だいたい翌日にはまた普通に練習したり試合に出場していますね。

テーピング

その他

サッカーやバレーボールなどに多い膝の靱帯損傷。
陸上選手に多いアキレス腱痛やかかとの障害。などなど。
ハリ治療とテーピング処置にて早期復帰が出来るように対応しています。

単なる打撲や筋肉痛だと安易に思わないこと。

コンパートメント症候群

聞き慣れない病名でしょうが、手当てを間違えると選手生命にかかわる危険性のある症状です。
コンパートメント症候群には打撲・外傷・骨折によって起こる急性コンパートメント症候群と、繰り返しのジャンプやランニングなどによって起こる慢性コンパートメント症候群があります。

 

下腿(膝から下)は4つの隔壁で仕切られています。打撲などが原因で隔壁内の内圧が上昇すると、急激な痛みや腫脹が出現します。内圧の度合いによっては手術をしなければならない症状の一つです。
ほっておくと下腿の細胞が壊死(細胞が死んでしまう)を起こし、機能回復困難となります。

 

細胞の壊死、機能障害を具体的に表現すると、牛肉にたとえると新鮮な牛肉がビーフジャーキーのように堅くなった状態になってしまいます。細胞の壊死が進行すると麻痺症状も現れます。陸上などで好発する第一区(向こうずねの外側)の障害による麻痺症状は、つま先が下垂しつま先を上へ上げる事が出来なくなります。よって普通に歩く事が出来なくなり、足を回しながら歩くような独特の歩き方になります。

コンパートメント症候群に対するハリ治療

慢性のコンパートメント症候群に対して、ハリ治療は特に効果があります。
皮膚の表面にチョンチョンと刺すような軽い刺激ではあまり効果は望めませんが、損傷している区画・筋肉に対してある程度の刺入をすると効果があります。損傷箇所だけではなく、腰部・股関節などの調整まですれば効果はさらに大きくなるでしょう。また、過度の運動が原因の場合は、運動を中止する、運動量を調整することも必要となります。
急性のコンパートメント症候群は切開手術が必要となりますが、機会を逃してしまった場合には壊死を起こしてしまい下腿がコチコチに硬くなり、時間の経過とともに麻痺症状等が現れます。そうなると現在の医学では適当な治療法がなくなり永久的な機能障害になってしまいます。

はりきゅう治療の1症例

野球の練習中に下腿に打球が直撃。単なる打撲だと思い我慢していたが症状が悪化。その後、整形外科を受診していたが徐々に歩けないようになり、松葉杖をついて当院受診。打球直撃から約45日経過していました。下腿は伸ばすことも縮めることも出来ない状態で、ハリを刺そうとしても刺せないぐらい鏡餅のようにコチコチに硬くなっていました。毎日治療して針が刺せるようになるまで2ヶ月、完全回復までほぼ4ヶ月要しました。練習に復帰できて背番号がもらえたと満面の笑みで報告を受けました。

※コンパートメント症候群は時間との勝負となります。ハリ治療ですべてのコンパートメント症候群が治る訳ではありません。慢性コンパートメント症候群でも度をこすと手術が必要となります。

郡山シティマラソン ボランティア治療

スポーツ治療毎年、郡山シティマラソンへ福島県鍼灸師会スポーツ治療チームの一員として参加しています。
第2回大会からの参加ですから、もうどのぐらいになるでしょうか。
毎年4000人以上の選手が参加する大きなイベントで、大勢の方が治療に訪れます。短時間の間に大勢の選手を治療しなければならないプレッシャーは相当なものです。
毎年参加して、昔の自分と比べて現在の自分はどうなのか、短時間で適切な判断が出来るようになっているのか、など再認識をさせていただく良い機会だと思っています。

甲子園大会トレーナー参加記

甲子園

甲子園

宿舎での治療

平成18年、光南高校の甲子園参加に伴いトレーナーとして帯同しました。


大阪の夏はとにかく暑いですね。福島とは比較にならないほど暑かったです。室内温度はクーラーフル回転でも27°以下にはなりませんでした。それと都会なのにセミの鳴き声がうるさかった。


福島県代表チームは、毎年同じ宿舎へ滞在することとなります。宮崎県代表チームも同じ宿舎を利用します。
宿舎にはちゃんとトレーナー室が用意されていました。

地方大会を勝ち抜いて甲子園へ参加する頃には選手の疲れもピークを迎えているのでトレーナーの仕事の量も多くなります。

 

まだ暗いうちに起床し、日中は練習に帯同し、夜は12時頃まで選手の治療をします。体はヘトヘトになりました。それでも毎日朝から晩まで選手たちと一緒なので気持ちだけは若返ります。

 

試合に負けてしまった時には思わず涙がこぼれました。それだけ選手と一緒に戦ったという特別な思いがあったのでしょうね。

 

貴重な経験をさせていただいた光南高校さま、ありがとうございました。

甲子園へ帯同して困ったことは、

①洗濯ができない。
ホテルの数少ない洗濯機を2チーム80人近い選手が利用するのでなかなか洗濯できません。着替えを多めに持参するか、いち早くコインランドリーをチェックするかどちらかが必要だと感じました。

②ビジネス街なので近くで必要なものが手に入らない。
不意なアクシデントに対してどうするか、全て自前で持参していくのも手ですが無理があります。あらかじめ提携業者とコンタクトをとっておき、不意なアクシデントに対応できる準備を整えておく必要があるでしょう。

③トレーナー室が狭い。
携帯ベット2台程度の設置スペース、これはどうしようもありません。効率的な治療をしないと時間だけを浪費してしまいます。

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